|
注射というものはとても痛い。なんせ体に針を刺すのだ。これは僕が小学生の時の実話である。 日本の保健医療制度の中には、指定された病気の予防接種を何歳の時に打たなければいけないというようなことがあるらしい。例えば日本脳炎とか、結核(BCG)、破傷風などの、かかると命に関わるような病気の物だ。 中学校に上がる前に破傷風と、なんだか忘れたけど大変な病気の、二種類の病気の予防接種である「二種混合」という注射をしなければいけないのだ。 僕は、その日風邪をひいていた。 体調の悪い人間にそんな危険な注射をするわけにもいかず、僕は後日病院で打ってもらうことになった。 さて、その病院である。近所の「八木医院」というところなのだが、小学生のイタズラ心から「ヤブ医院」と呼ばれていた。事実、これから話すミスを犯しているのであるから、僕はいまでも言えるわけだ。「ヤブ医院」と。 当時、教育ママと化していた母親のおかげで、超多忙な小学生だった僕は、なかなか時間が無く、やっと行けたのは、みんなが注射をしてから約2週間後の夜であった。 母親と病院に行く。例のごとく薬のにおいと、病人であふれんばかりの待合室。母親が、注射をしに来た旨を受付に伝え、番号札をもらう。呼ばれている番号からはかなり遠い。 僕は病院の待合室が結構好きだ。鼻炎や結膜炎などで、通院経験が豊富な僕は、早速漫画雑誌などを探し、読む。このときばかりは、結構大人の漫画を読んでも、それしかないのであまり怒られない。 「○○さーん」と看護婦さんがいったような気がする。母親がせかすところを見ると、確かに呼ばれたようだ。「番号の割にはちょっと早いなー」と思ったが、注射だけだから早いのだと思って、診察室に入る。 医者「今日は注射ですねー」 僕「はい」 医者「それじゃあズボンを下ろして、そこにうつぶせになって」 僕「!!(なんでズボン?)はい」 診察台にうつぶせになった僕のグンゼのパンツを、看護婦さんが豪快に下ろす。僕のケツは丸出し状態。 僕「???(みんなもケツに打ったのか?まあ医者がいうなら間違いないかー)」 僕のケツに垂直に注射針が刺さる。やっぱり痛い。 医者「はい終わりましたー。おだいじにー」(注・ここでおかしいと思わなくてはいけない注射をしに来ただけなのだから) 待合室から出ると、母親が聞いてきた。 母親「大丈夫だった?」 僕「お尻に打つのはびっくりしたけど、大丈夫」 母親「!!!」 母親がいきなり受付に向かう。僕は、もうお会計かと思っていたのだが、どうも、もめているようだ。何に問題があったのだろうか? どうも同じ名前の人で、風邪の注射をしに来た人がいるらしい。その人の注射を僕にしたらしいのだ。医者がいうには、注射の中身は栄養剤のような物なので、問題ないとは思うが何かあったらすぐに来てくださいと平謝りだった。 僕は翌日の体育を見学する羽目になり、結局うやむやのまま二種混合は打たなかった。しかし、元気なのに見学というのも妙だったなー。寒い時期だったのでうれしかったけど。 栄養剤が効いたのか、体調はすこぶる良かったです。校内マラソン大会も4位だったし。 それにしても尻に注射を打つはずだった人は、聞いたところによると、40すぎのおっさんだったようで、そんなおっさんと間違われたのが非常に幼心を傷つけられた。 2000/3/8 |